マンションの供給が始まった昭和30年代前半は、所得の比較的高い層を対象とした都心型のマンションが主流であり、供給戸数もそれほど多くはなく、高級住宅としてのイメージがあった。このため、当時のマンションの管理方法としては、分譲会社が組織内に管理担当部門を設置し、区分所有者と個別に管理委託契約を取り交わして管理業務を実施することが一般的であった。
昭和37年にマンション法(区分所有法)が制定され、昭和40年代に入ると、一般の中堅所得者層を対象とした大衆型マンションが主流を占めるようになり、特に、昭和40年代後半はその供給が急激に拡大された。この時期の特徴として、マンションストック数の急激な増加に合わせて、分譲会社系列の管理会社が出現したほか、各マンションにおいて区分所有者による任意の管理組合と管理会社との委託契約に基づく今日のマンション管理の原型が形作られた。この頃になって、中高層分譲共同住宅の全体を指すものとして、「マンション」という名称が一般に使われるようになった。