特定行政庁は、一定の用途及び規模の既存不適格建築物について、劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認めるときは、当該建築物又はその敷地の所有者等に対して、必要な措置をとることを勧告することができるものとするとともに、その勧告に係る措置をとらなかった場合において特に必要があると認めるときは、その勧告に係る措置をとることを命ずることができるものとした。
勧告の対象としては、例えば昭和40年代以前に建築された、鉄筋の量が少なく、柱や壁のバランスが悪い鉄筋コンクリート造の建築物について、柱等にひび割れ、鉄筋の錆が生じ、そのまま劣化が進むと中規模の地震(震度5強程度)で倒壊するおそれがある場合等を想定している。
今後国土交通省では、現場の特定行政庁においてバランスのとれた円滑な運用がなされるよう、勧告・命令の目安等を示すガイドラインを、特定行政庁の意見を聞きながら整備する予定であり、その中で、耐震性・防火性等に関する危険性の判断方法、ひび割れ、錆等の劣化の状況の判断方法、図面がない場合の建築物の現況調査の方法などを定めることとしている。