取材 : 東京大学生産技術研究所 腰原幹雄助教授
木造住宅というのは、本来手を入れて住み続けるものです。文化遺産のように長く残っているものは、それだけ手をかけてきているわけで、何もしないで長い年月を耐えてきたわけではありません。
今あるものをどうやって長持ちさせるか、価値を上げていくか。方法は手をかけるしかありません。例えば、日曜大工のようなことでもいいと思います。塗料がはげたらペンキをぬるとか、クロスがはがれたら貼りなおすとか、そういったことをしていると、普段目につきづらい傷みがわかります。こまめに修繕することが長持ちにつながるのです。そのまま何もしなければ傷みが進み、価値が下がっていくということを理解し対処しなければいけません。
リフォームするとき、ついでにちょっと耐震補強をしてみる。こういった小さなことも、最初は部分的なアプローチに過ぎなくても、結果的に耐震補強につながっていきます。
一時期RC造やS造に比べて、木造住宅の構造は弱いと考える方がいました。また、同じ木造住宅でも、在来や2×4などの工法によって耐震性能の高低があるともいわれていました。
しかし、阪神・淡路大震災以降、さまざまな実験や被害調査が行われ、解析技術が上がり、その結果、使う部品や工法は違っても、基本的な耐震性能は同等にできることがわかってきました。在来工法でもきちんと設計・施工を行えば、他の工法との耐震性能の違いというものはなくなるのです。