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地震に強い住宅

木造戸建て住宅の耐震

取材 : 東京大学生産技術研究所 腰原幹雄助教授

建築基準法住宅性能表示制度を知る

 建築基準法とはすべての建物が守らなければいけない基準です。ある程度の地震には耐えられるようになっていますが、建築基準法は、あくまで最低限の基準であることを理解していただくことが必要です。
  一方、品確法では住宅性能表示制度の耐震等級として、等級1~3までを設定し、それぞれ建築基準法の1.0倍、1.25倍、1.5倍としています。建築基準法は必ず満たさなければいけない基準ですが、住宅性能表示制度は任意ですから、買う側の認識によって住宅にどこまでの性能を持たせるか、かなり差が出てきてしまいます。
  しかし、多くの人は「建築基準法を満たしていれば十分」と思っているのが現状のようで、今回の事件でもそれが顕著に現れ、ショックを受けました。
  設計者側からすると、最低限守らなければならない建築基準法の性能にどれだけ余力を持たせて、更に性能を上げられるかが構造設計者の腕の見せ所といったところです。一般の方にもそういったことを知っていただきたいのです。建築基準法で守れるのは命まで、品確法は命と財産を守るといった認識でしょうか。
  それでは、等級1の建物を1.25倍の等級2にするには、どれだけ費用がかかるのでしょうか?実は、新築の場合には、思いのほかかかりません。しかし、等級1で建ててしまった住宅を等級2にしようとすると、費用はかなりかかります。初期投資が大事だということです。こういったことはあまり知られていないようですが、売主の努力と買主の勉強で、よりよいものを選択できる土壌を作り上げていくことが必要だと思っています。