風を通したり、陽射しを遮ったり、実際に暑さをやわらげる工夫以外に、見たり聞いたりすることで、涼しい気分になるような工夫も、たくさん考えられました。たとえば、部屋にガラスの金魚鉢を置き、涼しげに泳ぐ金魚とゆらめく水草を見たり、軒先に風鈴を下げ、澄んだ音色を聞いて風があることを感じたりしました。また夏になると、床にさらっとした感触のゴザを敷いたり、竹で編んだ枕を使ったりしたのです。さらには青や紫の寒色系の花や秋を先取りした花を飾ったりして、涼しさを演出しました。それにあわせて、着るものも、夏用の透けた素材やシャキッとした素材のものに替え、色や模様も涼し気なものを選んだのです。そして、水気の多いスイカや瓜(ウリ)などを、井戸水や湧水で冷やして食べました。 とはいえ、狭い部屋の中にたくさんのものがあると暑苦しく感じます。置くものはできる限り少なくして、部屋の隅が見えるようにすると、なおいっそうすっきりした涼しい感じをつくりだします。
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