電気のない昔は、クーラーや扇風機なんてありませんでした。でも、みなさんの家でも夏になると、団扇(うちわ)や扇子(せんす)を使いませんか。気温が同じでも、風があるのとないのでは、ずいぶん暑さの感じ方が変わってきます。そこで昔は、住まいの中に風がよく通るようにしていました。風は入り口だけでは、なかなか入ってきません。必ず出口があって家の中をよく通るようになります。それに加え壁が少なく開放的な場所ほど、たくさんの風が通っていきます。壁が少なくふすまや障子で間仕切った昔の家では、たくさんの空気の通り道をつくり、夏の暑さをしのいでいたのです。 また、夏の風は主に南から吹きますから、家の南側に農地や庭の緑があると、入ってくる風の温度が下がります。それから、「打ち水」といって、朝夕に庭や玄関先に水をまく習慣があります。これは見た目に涼しいだけでなく、まいた水が蒸発するときに、周りの熱を奪うので、空気の温度が下がることにつながり、家の中には、周りの空気より少し温度の下がった風が、気持ちよく通り抜けていきます。
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