夏の暑さの大きな原因は、強烈な陽射しです。陽射しの強い日、外に長時間いると、日射病や熱射病にかかってしまいます。それで、暑い日は日傘をさしたり、帽子をかぶったりするのです。住まいのつくりで、この日傘や帽子の役割をするのが軒(のき)や庇(ひさし)です。軒は、屋根が建物の壁より外に飛び出した部分で、長くなるほど陽射しを遮ります。また、庇は窓と屋根の間の小さな屋根で、日を遮ったり、雨が直接窓から入らないようにしたりしています。 そして、軒や庇を出しても、家の中に入ってくる陽射しは、簾(すだれ)や葦簾(よしず)というもので遮りました。この簾や葦簾は竹や葦(ヨシ)という植物の茎を使い、糸でつないで一枚のシート状にしたもので、これを軒の下に吊り下げたり、立て掛けたり、ふすまの代わりにしたりしました。こうすれば、陽射しを遮って陰をつくり、しかも風は自由に出入りができるのです。 また、同じような効果をもつものとして、植物も使われました。夏に蔓(つる)が伸び、葉が茂る朝顔や糸瓜(ヘチマ)などを西側の家の壁にはわせて、特に暑い西陽を遮ったりもしました。
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