都市で生活していると、人間は地球上の生物の循環の輪の一部であることを、ついつい忘れがちになります。緑はわたしたちが生きていく上で、なくてはならない酸素をつくり出し、わたしたちが吐き出す二酸化炭素を吸収している、たいへん重要なパートナーなのです。しかも、葉や根に蓄えている水分は、空気中の湿度・温度、土中の水分を調整しており、人だけではなく生き物が活動しやすい環境の源といえる存在です。ですから、人が植物の緑を見たり触れたりした時に、心が和んだり、気持ちが落ち着いたりすることは、当然のことなのかも知れません。都会だからといって、これ以上緑を少なくすることは、まちを住みにくくするばかりなのです。 森や林の中を散策したり、ゆっくり休養するときの気持ち良さ、野原で自由にかけまわったり、木登りをする楽しさには、人工的な場所では得られない充足感があります。また、植物を育てたり、野菜をつくったりしている人どうしで、なにげない会話が生まれてくることもあります。緑はコミュニケーションしやすいまち、美しく住みやすいまちをつくり出す一要素なのです。
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