ビルや建物だけがひしめきあったまちは、歩いていても圧迫感があり、目に映る風景は味気なく感じられます。ところが、少しでも樹木が植えられていたり、色鮮やかな草花の鉢が飾ってあったら、それだけで気持ちがやわらぐのではないでしょうか。こんな風に気持ちが変化するのは、緑が安らぎを感じさせ、魅力的なまちの景色をつくりだすはたらきがあるためです。 また、樹木は季節によって、そのかたちをさまざまに変化させます。開花や新緑、紅葉の時期の樹木、かれんな草花は、四季の移ろいを直接感じさせる風景をつくりだすのです。緑に彩られた風景は、その季節ならではの美しさが味わえます。ビルが建ち並ぶまちや車が行きかう道路であっても、街路樹や生け垣、軒先の植木、公園や広場などの緑が、身近な自然を気づかせ、周りの人工的な雰囲気をやわらげます。 さらに、緑や緑地にはそのまちらしさを、より強く感じさせてくれる役目もあります。地形や気候、風土、文化など、それぞれの地域にふさわしい緑が育つことによって、まちの景色に独自の個性がでてくるからです。他の場所にない美しい景色は、自分たちのまちをいっそう好きになるきっかけにもなります。
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