人は昔から住まいやまちをつくるとき、上手に緑の性質を利用していました。そのひとつに、防砂林や防風林があります。激しく砂が舞飛ぶ地方や、強風がしばしば吹き付ける地方の家の周りに厚い樹木の壁をつくり、砂や風の勢いをやわらげ、建物を守ったのです。また、家の周りだけでなく、開墾した田畑の周りにも防風林をつくり、収穫物を守っている地方もあります。 また、厚い樹木の壁は、防火林としても広い地域で利用されていました。これは火災の火が周りに延焼することを防ぐ目的で植えられました。生きた樹は水分を多く含んでいるので、火が出てもこの防火林を越えることができず、となりの建物に燃え移るのを防ぎます。 このような面積が大きな林ばかりでなく、もっと小さな生け垣や庭木でも、住みやすい環境をつくる工夫が行われています。道路側の生け垣は騒音やほこりを少なくしてくれますし、日が射す位置に植えた葉の繁る樹木は、家の中に入る日射しの量を調節してくれます。また、広い野原は、地震などの大きな災害時に、まちの人の避難場所になります。
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