子ども部屋が一般的な住まいにも広がっていくのは、第2次大戦後、昭和30年代になります。日本経済が急成長し、暮らしに余裕がでてきた時代です。住まいも畳の部屋が多い和風のものから洋風化が進み、いくつかの個室を備えるようになりました。そして子どもがいれば、一部屋は子ども用の部屋として使われるようになってきたのです。子ども部屋には、タンスや本棚、ベッドが置かれましたが、日本の場合、学習用の机が特別な位置を占めました。小学校にあがるときには学習机が用意されるようになり、たとえ、子ども部屋はなくても学習机は子どもにとって、自分の居場所になりました。 初めは脚に引き出しのつかない木製の平机(ひらづくえ)が一般的でしたが、昭和37年にスチール製の学習机が作られました。これは、子どもの成長に合わせて机の高さを調節できるということで、注目を集めました。その後、棚や蛍光灯に加え、鉛筆削りや時計、カレンダーなどをとりつけた机が誕生。折からの受験・進学ブームにのって、たいていの子ども部屋にこんな学習机が置かれるようになりました。最近では飾りのないシンプルな木製の机にもどってきたようです。
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