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住宅とアスベスト

アスベストってどんなもの

取材 : (一財)ベターリビング 遊佐秀逸部長

そもそもアスベストとは?
高性能な天然の鉱物

耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れ、摩擦にも強い、しかも天然の鉱物であるため安価であることがアスベストの特長です。現在、一つひとつの性能においてアスベストより高性能なものはありますが、総合的にみてアスベスト以上のものはありません。
アスベストはその特長を生かし、さまざまな用途に使われてきました。約9割が建材といっていいでしょう。自動車のブレーキや不燃布としても使われています。
このように性能的にも価格的にも素晴らしいものですが、アスベストには決定的な欠点がありました。アスベストは、あまりに繊維が細かいので、大量に長期間吸い続けるとじん肺になってしまうのです。
じん肺とは長期間炭鉱やトンネルで働く作業員がなる病気です。人体に異物が入ると、マクロファージという白血球の一種が異物を取り込み分解するのですが、あまりに大量にそして長期間にわたり異物が入るとその処理がおいつきません。長い時間かけてたまった異物は、病気を引き起こすのです。
その後、肺ガンや中皮腫などの悪性腫瘍の原因となることも明らかにさてきました。
現在、代替品として建材には人工物であるグラスウールやロックウール、ブレーキにはカーボンファイバーが使われますが、価格はアスベストに比べて割高です。ロケットのパッキンやミサイルの部品などには代替材料がないので、現在でも使われているようです。

一般環境にも存在するアスベスト
どこにいても微量に存在しているもの

かつてアメリカは、アスベストの最大消費国でした。アスベストは、古くはギリシャ時代から魔法の布として使われていましたが、近代以降、第二次世界大戦中の軍艦、その後は断熱材や吸音材、鉄骨の耐火被覆として大量に使用されていまアスベストは天然の鉱物ですから、自然環境で浮遊アスベスト繊維が地球上いたるところに存在する場合もありしています。
多くの鉱山では現在アスベストの採掘はほとんど行われていませんが、鉱山に近い地域都市では、アクセサリー類の採掘などでアスベストの濃度が高くなることがあります。また、かつてブレーキなどからの粉じんにもアスベスト繊維が含まれていたでしょう。
このようにアスベスト濃度は場所によって違いますが、一般環境、特に都市域では気中に非常に微量ではあっても必ず含まれているものと考えて間違いないでしょう。
日本でも2005年12月に各地でアスベスト濃度調査が行われ、環境省から自治体のデータが公表されていますが、通常の住宅地の空気1リットルに平均約1.3本のアスベストが含まれているという調査結果もが出ています。