かつてお城があった場所に石垣だけが残っていることがあります。実は石垣の多くは、近世になってからつくられたもの。中世の時代では、山城が多かったので、重くて大きい石を運んだりできず、高く積み上げる技術もありませんでした。このころのお城の周囲には、堤防のように土を盛り上げた土塁(どるい)をつくったのですが、大雨に弱くよく崩れていました。しかし桃山時代になると、お城が平地に移り、規模が大きくなって、頑丈な石垣ができるようになったのです。 お城の石垣は、当初、自然の石を集めてかんたんに加工して積み上げていました。石の大きさもバラバラで、たくさん隙間のあるものです。ただ隙間がたくさんあるので、人が登りやすいという欠点がありました。そこで、石の表面を整え隙間を減らし、さらにその後まったく隙間のない石垣をつくったのです。自然の石を上手に積むのはとても難しく、現代ではこうした積み方ができる職人はいないといわれています。こうして、雨にも崩れず、人が登りにくい、見た目にも美しい石垣ができたのです。 隙間をなくした石垣をつくるには大量の石が必要で、石切り場で大きな石を切り出して現地に運んでいました。日本でいちばん大きい石垣の石は、大阪城本丸桜門にあります。「蛸石(たこいし)」とよばれる特別な石で、重さはなんと100tを超えると推定されています。
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