現代では、お金を払えばほとんどすべての家事を買ってすますことができ、住まいの中でだれとも関わらなくても暮らしていけるようになっています。子どもは学校で、大人は仕事場などの住まい以外の場所で多くの時間を過ごすので、そこでの人との関係を保つのももちろん大切ですが、心が安らぎ、毎日の疲れを癒すといった暮らしの中心は住まいです。
1970年代に北欧で始まった「コレクティブハウジング」は住まいの中で人と関わり合うことで、人との交流を広げ、生活そのものを豊かにする住まい方です(
「多様化する家族」参照)。ここでは、それぞれの家族が過ごす住まいの他に、みんなで使えるキッチンやリビング、洗濯室、テラスなどがあり、日々の暮らしをさまざまな人・家族が協力しながら営んでいます。お年寄りの一人暮らしや子どもがいる家族など、いろいろな立場の人が大きなひとつの“家”の中で、掃除や庭の手入れを分担したり、夕食を当番制でつくったりします。
今までの家庭の枠にとらわれず、同じ思いをもつ人たち同士が一緒に家事を行うことによって、多様で豊かな人間関係を育むことにもなるのです。