中国・雲南省の台所(ダイ族の台所)
 中国南部の雲南省の一部は、ベトナムやミャンマーに接する亜熱帯気候の地域です。ここにはダイ族の人たちが高床式の住まいで暮らしています。
 大きな室内では寝る場所は仕切られていますが、それ以外はすべてオープンな空間で、台所、食事の場所、くつろぐ場所などには床の段差や仕切りはありません。とはいえ、だれでも自由に居たり座ったりできるわけではなく、身分の上下や性別によって決まりがあり、女の人は火の近く、つまり台所に近い側が居場所になっています。 だだっ広い部屋の一画の、何の仕切りもない台所には囲炉裏(いろり)がきってあり、その周りで食事の支度をします。材料を切ったり、料理を盛るときは座ったままの姿勢です。水道はないので、水は素焼きの壷などに汲んでおきます。
 ダイ族の中でもシーサンパンナ地方の人たちはもち米が大好きです。お祝いなどでは赤米を蒸す習慣があり、日本のお赤飯に似た文化を感じさせます。
  経済発展が著しい近ごろの中国。ここ雲南でも漢民族の文化が入ってきて、竹や板でつくられていた住まいは、レンガ造りの家に変化しつつあります。そして伝統的な囲炉裏(いろり)も、レンガやタイルを張った竈(かまど)に改造する家が多くなっています。

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