東京都世田谷区にある太子堂地区は、細い路地が入り組み、たくさんの人たちが暮らすまちです。関東大震災や第2次世界大戦によって被災したたくさんの人が、都心や下町から逃れて移り住んできました。さらに戦後も、都心に近いことから、地方の人がどんどん入ってきて、農村地帯だった太子堂にアパートなどの建物が密集するようになったのです。 消防車や救急車が入れない場所も多く、区がまちを改善する案を出したのですが、一方的で受け入れがたいと、市民から反対の声が上がりました。そこで、区は地域住民を交えて意見を交換する「太子堂地区まちづくりの会」をつくったのです。そこでいろいろな意見を出し合い、話し合いを積み重ねた結果、ポケットパークという小さな広場をつくり、燃えにくい建物を増やしたり、道を広げるなど、まちの姿をいっぺんに変えずに、少しずつ手を入れながら災害に強いまちをつくるルールを決めました。 18カ所(2006年)あるポケットパークは、火災の延焼を防いだり、一時避難場所として使えます。また、ポケットパークでは、住民のまちづくりへの関心を高めるために、たくさんのイベントも開かれました。住民参加のまちづくりは、防災に限らず住民同士の交流や環境などのテーマへ広がってきています。
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