日本の南、沖縄諸島の住まいは、暑さ対策と台風対策に優れています。昔からの住まいにみられる深い軒は、雨や風とともに強烈な夏の日射を遮ります。そして南側に大きな開口部を設けて、南から吹く風を取り込み、涼しく住まう工夫をしています。そして、屋敷林とよばれる住まい周囲の樹木は、敷地内に日陰をつくり、空気を涼しくしています。この屋敷林に加え、台風などの激しい雨や風を防ぐために、地元のサンゴでできた石垣や、ヒンプンという衝立(ついたて)のようなものを建てています。ヒンプンは屋根の上のシーサーと同じように魔除けの意味があるそうですが、開放的な家の中を外から見られないための目隠しや、風をうまく庭の中に入れる役目もあります。 現代は敷地に昔のような余裕がないので、住まいのかたちは変化してきていますが、それでも日陰をつくるために軒を出したり、中の風通しをよくする間取りの工夫などが取り入れられ、それが省エネルギーにつながっています。
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