今ではめったに見られなくなりましたが、各自の食器がしまえる箱膳(はこぜん)というお膳は、大正時代や昭和初期まで、一般的に使われていました。地方やその家の事情によっても異なりますが、各自の箱膳の中にはお茶碗、箸、小皿がしまってあって、専用の棚にまとめて置いてありました。食事時になると、それぞれのお膳を出し、ふたをひっくり返して、食器を並べます。そして、茶碗やお皿にごはんやおかずをよそうのです。手のこんだ箱膳では、引き出しのついたものもあったようです。食事はというと、朝はご飯とおみそ汁と漬物、梅干しくらい、昼は煮物がつき、夜はだいたい朝と同じといったシンプルなものが一般的でした。 |