日本独自のこたつ
 火鉢に木を組み立てて作った櫓(やぐら)というおおいに、布団をかぶせたのがこたつの始まりです。温かい熱が逃げにくく、腰から下がほかほかと暖まる暖房で、木綿のふとんが普及した17世紀以降の江戸時代に一般的になったといわれています。
 火鉢と櫓、布団がセットになって、家の中のどこへでも動かすことができるものを置きごたつといいます。それから部屋の床を掘り下げてつくる、掘りごたつというかたちもあります。こちらは床より1段下に火鉢をすえ、その上に木の櫓をかけ、布団でおおいました。見た目は置きごたつと同じですが、腰かけて暖まることができます。それに、こたつ本体を動かすことが(は)できません。また、置きこたつより少ない燃料で暖まることができたので、資源が不足していた第二次大戦中に普及しました。布団の上に板を置いて、テーブルとしても使われるようになりました。
 両方とも燃料には炭が使われました。炭は燃えている時間が長く、火力が安定し、煙が出ない長所があります。しかし、火をつけるのに手間がかかり、燃えるときに一酸化炭素が出るので、風通しの悪い部屋では中毒の危険がありました。そこで昭和30年代以降は、安全で手軽な電気式のこたつが登場したのです。

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「調理したり虫よけにもなった囲炉裏」「部分的に暖かい火鉢や湯たんぽ」「日本独自のこたつ」