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日本人は、今や世界一の長寿という恵まれた状況にあります。その長い人生を心ゆくまで安心して楽しむには、住まいの充実が不可欠です。 ところで、その住まいに関する備えは十分でしょうか。これまでの住まいはどちらかというと若い時や子育ての時に照準をあわせて、住み手が年をとった時のことまであまり十分には考えてきませんでした。しかし、今からでも十分に間にあいます。加齢にあわせてより安全に快適に生活できるよう住まいをリフォームすればよいのです。人の長生きにあわせて住宅も長生きにするためのリフォーム、老後の生活を生き生きと楽しいものにする生活創造のためのリフォーム、そして、やはり心配な身体機能の衰えをカバーするためのリフォームなど、リフォームは老後の生活の安心を約束します。 |
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1.住宅や設備も長生きさせるためのリフォーム |
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長年住み慣れた家も、時間経過とともに、多少ともガタが出てきます。特に、木造家屋の場合、何も手入れをしなければ住宅の寿命は二、三十年といわれてきました。また、便所、浴室、台所などの水廻りは、設備の老朽化が目立つところです。特に年をとると使い勝手の悪さが気になってきます。 こうした事態に対処するため住宅もまた長生きするようリフォームをしてはどうでしょうか。水廻りの設備機器の更新、屋根や外壁の手入れなど、少し大掛かりになりますが、老後の安心のためには効果抜群です。住み手も住まいも手を携えて安心して年をとっていくことができます。 |
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2.老後の生活創造のためのリフォーム |
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老後とは人生にとってのまさに黄金期です。豊かな時間を誰にもじゃまされることなく、それまでに築いてきた人生の実りを心ゆくまで味わう時です。そうした豊かな生活を創造するための器として、住まいをリフォームしてみてはどうでしょうか。 子供たちが巣立ったあと、二つの子供部屋を一部屋に改造すれば大きなゆったりとした空間が得られます。そこでピアノを思う存分弾いてみるというのはどうでしょう。リフォームによって生活の可能性が様々に広がります。このように住まいの空間を改造することによって、豊かな老後生活の第一歩が始まります。 |
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3.身体機能の衰えにあわせたリフォーム |
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年をとると個人差はありますが、誰しも多少は足腰が衰えてきます。若いときには何でもなかった段差や狭さが苦になったり、思わぬ事故の原因になったりします。 そこで、多少足腰が衰えてきたなと思ったら、まず予防的なリフォームを考えてはどうでしょうか。高齢期の身体の衰えはいつ何時やってくるかわかりません。つま先が引っ掛かるくらいの段差の解消、階段や便所、浴室の手すりの設置、廊下や出入口の巾を広くしておく等の備えがあれば、いざというときに安心ですし、何よりもこれによって住宅内事故などを未然に防ぐことができます。まず、身体機能の衰えに備えて予防的なリフォームを考えてみましょう。 では、体がもっと衰えて、介護が必要になってからでは遅いのでしょうか。そうではありません。住宅のリフォームによって、要介護者の身体機能の衰えをカバーしたり、介護者の介護負担を軽減できます。介護保険を利用して、一定の条件を満たした住宅改修も行えるようになっています。段差の解消、手すりの設置、洋便器の設置等は、介護が必要になった場合には効果の大きい改修です。介護保険なども利用しながら、効果的な改修をすることによって、介護する方、される方がともに安心を得られます。 |
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加齢対応のリフォームを実際に行うにあたって、どのような点に注意すればよいのでしょうか。 まず、リフォ-ムをするタイミング、時期に気をつけましょう。あまり年をとりすぎてからだと新しい環境に順応するのに時間がかかります。また、ある程度の費用がかかりますので、経済的な余裕があるときに積極的な意欲をもってリフォームした方が満足の高い結果が得られます。 第二の注意点は、専門家にリフォームの内容、仕上がり、費用まで納得できるまで相談して、適切な助言をふまえて工事に着手することです。また、工事後にどのような空間や使い方になるのか、専門家による適切な助言を仰ぐとよいでしょう。 第三の注意点は、特に身体機能の衰えに対応したリフォームを行う場合に、身体の衰えばかりに注目しすぎてしまうことです。生活の潤いや家族の住まい方まで考えたリフォームをしないと、結局は失敗ということになりかねません。身体機能の程度はADL(Activity of Daily Living)といいますが、このADLの向上だけでなく、家族も含めたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上までを考えることがよいリフォームの秘けつです。 |
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