人びとが長い年月をかけ、生活をよりよくしたり、心を豊かにしていくためにつくりあげた思想や技術などのことを文化といいます。この文化によって表現されたものを文化財とよび、その中でも特に重要なものは国や自治体によって保護されています。たとえば、見たり聞いたりする演劇や音楽は、無形(むけい)文化財。手で直接触れることができる絵や彫刻、工芸品などは有形(ゆうけい)文化財とよびます。また、昔から続いている地域の祭りや、農業でつかった鍬(くわ)や鋤(すき)などの農具、昔の風習や信仰にかかわるものも文化財です。 もちろん、建物も文化財です。日本では、各地の古い住まいのほか、お寺や神社、昭和初期ごろまでの学校や役所、工場などを、文化財として国や自治体が保存しています。さらに、建物もひとつだけでなく、いくつも集まっている場所があり、その地域全体を文化財として保存する制度もあります。こうした地区を伝統的建造物群保存地区(でんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく)とよびます。 実際にこの地区に指定された城下町や宿場町、山あいの村などには、地域独自の特色をもった建物が集まっています。そしてそこでは、建物や全体の風景を壊さないようにするとともに、そこに住む人たちが、建物を活用しながら、地域の歴史文化を受け継いでいっています。 |