セーフコミュニティは、福祉のまちづくりにとても力を入れているスウェーデンのストックホルム南西部のリンシェーピン市で行われた取り組みを模範にしました。 スウェーデンでは、健康を害する事件や事故を予防するためには、地域からさまざまな差別をなくし、住民が交流しやすいような環境をつくることが重要であると考えています。リンシェーピン市では、こうした理想のまちをつくるための取り組みを実際に始めました。 まず、事故が起きた場所を示す地図づくりを行いました。その後、事故のために病院を受診した人、入院した人を調べ、事故の原因や傾向を調査する制度をつくりました。これらデータ分析により、子どもや高齢者が事故にあう危険性の高い人たちで、危険の高い環境がどういうところなのかが明らかになりました。次に、たくさんの公共機関や組織、住民たちの間に広いネットワークをつくり、情報提供や会合を行いました。こうして、どの世代の人も、この取り組みに参加できる計画をつくったのです。例えば、生まれたばかりの子どもの親のためには、グループで話し合いができる場があり、15歳から24歳までの若者には、ボランティアによる車の運転に関する講習があります。さらに、お年寄りには健康管理センターが健康を検査する制度をつくりました。 その結果、家庭内の事故、労働災害、交通事故によるケガのすべてが減りました。ちょっとした活動の積み重ねと、現状を正確に把握する仕組みの2つが働き合って安全・安心なまちづくりにつながったのです。これが「セーフコミュニティ」の考え方の基本となりました。 |