戦災を逃れた月島の長屋
 東京の下町、月島ができたのはほぼ110年前。当時国は、東京湾を整備するため海底の土砂を浚(さら)っていました。その土砂を埋め立ててできた島が月島なのです。ここは、江戸時代の町割と同じように格子状に道路がつくられ 、たくさんの軍需工場とともに、多くの工場労働者のための住まいとして、路地に面して昔ながらの長屋が建てられました。月島は運よく太平洋戦争時の空襲にあわずにすみ、そのころの長屋や路地空間がそのまま残りました。車も入れないような狭い路地は、掃除が行き届き、大小さまざまな植木鉢が置かれ、暮らしの匂いや人の温もりが感じられます。ただ、救急車や消防車も路地には入れないので、みんなが協力して消火器を用意するなど町ぐるみで防災に取り組み、住みやすい町をつくっています。
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