陽射しが強く、湿気の多い熱帯気候の地域では、住まいの床を高くして風を通りやすくする工夫が多くみられます。赤道の近くにあるインドネシアのニアス島も、そんな住まいが建てられているところです。 家の材料は、島に生えている植物です。柱にはコクタンの木を使い、屋根はヤシの葉で葺(ふ)きます。円形につくられた室内は、大広間を中心には伸び伸び自由な空間で、天井も高くなっています。そして、大きなヤシの帽子をかぶせたような家ごと、たくさんの柱で持ち上げられています。屋根には風が抜けるための窓が数か所ついていて、家の中に入った風の抜け道になっています。床の下にある柱のうち斜めのものは、地震の多いこの地方でみられる、独特の仕組みでもあります。 床を高くすると、カビの発生や害虫が増えるのを抑えられます。そして地面の湿気から離れた室内は、床下に日陰をつくり、そこを通る風によって「ヒンヤリ空間」がつくられます。この「ヒンヤリ空間」と自由に風が通る高い天井に挟まれて、室内は涼しさを増すのです。
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