囲炉裏は昔の農家の板の間によくみられます。部屋の中ほどに四角くくりぬいた部分をつくり、そこに灰を敷き細く割った木や枝などを燃やしたのです。家の中で薪(たきぎ)をするようなものでした。寒い季節はこの火で暖をとったのですが、そもそも日本の古い住まいは風通しのよいつくりなので、部屋全体が暖まることはありませんでした。火に向いている顔は暖かいけど、背中は寒かったといいます。しかし囲炉裏の使いみちは暖房だけに限りません。囲炉裏の上になべをつるして料理をしたり、魚を焼いたりしました。また、立ちのぼる煙やその煤(すす)は、草葺き屋根の虫よけにもなりましたので、屋根を長持ちさせることにも役立ちました。
家族みんなが集まり、囲炉裏のまわりで団らんを楽しみましたが、お父さんやお母さん、お客さんなどの座る場所は、古くからのしきたりによって、きっちり決められていました。
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