大きな藁葺き屋根に広い土間のある古い農家は、全国各地に残っています。昔、農業を営んでいた人々の多くは、土地をもてず、家もいたって質素なものでした。しかし、庄屋(しょうや)や、名主(なぬし)のような豊かな階層の人たちの住まいは、たいへんりっぱなもので、最近まで、農家住宅のお手本となっていました。こうした住まいにはたいてい、家族みんなが集まる広間があります。
広間は、地方によって、また、住宅が建てられた時期などによって、いろいろな名前で呼ばれていました。たとえば、家族みんなが集まって食事をするなどの使い方から、広間を「茶の間」や「居間」と呼んでいたところがあります。広間がそのように呼ばれるのは、江戸時代後期以降だと考えられています。