建物の形で時代を知る
 まちには、そこに住んでいる人、働く人、訪れる人に必要な、さまざまな種類の建物が建っています。なかでも古い建物の場合、外観のスタイルや間取り、使われた材料や技術は、今あるまちができた大まかな時代を表す目印になります。
 たとえば日本各地に点在する塗屋(ぬりや)づくりや蔵づくりの建物がその一例。山口県の柳井(やない)市や福島県の喜多方(きたかた)市はそれらのまちなみが美しく残っていることで有名です。
 昔の建物の骨組みは、そのほとんどが木材なので、いったん火災が起きれば家から家へ燃え移り、まちは大きな被害を受けました。当時の人はそんな事態を防ごうと、いろいろな工夫を考えました。それでできたのが、塗屋(ぬりや)づくりや蔵づくりです。はじめの頃は外壁をいつもより厚く塗り、木の柱が外側に出ないようにして火が燃え移ることを防ぎました。これが塗屋づくりです。さらに防火の働きを進化させたのが蔵づくり。これは、柱に限らず木の部分がまったく表面に出ないようなつくりになっています。
 このような建物が、まちの中にどのくらいあるか、また、まちのどのあたりにまとまっているかを見てみましょう。そうすれば、まちの広がりやどのくらい栄えていたかなどが分かってきますよ。

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