仕事場所としての「表」
 江戸時代には士農工商(しのうこうしょう)という身分制度がありました。職業によって地位の高さが決められていたのですが、一番位(くらい)の高い武士の中でも身分は細かく分かれていました。もちろん武士の中で一番高い位は将軍です。将軍の仕事は人に会ったり、儀式を行うことでした。そのため、お城の中には人に会うための部屋がいろいろありました。
 これらの部屋のあるところは「表」と呼ばれ、会う人の身分によって入る部屋が決まっていました。たいていは部屋ごとに床の高さが異なり、一番高い上段の間(ま)には将軍が座り、低くなるにしたがって、身分も低くなりました。特に身分の高い人と会う部屋は天井が高く、襖絵(ふすまえ)や壁画(へきが)など室内の装飾も豪華になっていました。
 さらに将軍は、一度に大勢の人と会うこともあり、その時に使う大広間(おおひろま)は約500畳(およそ1600m2)もありました。
※上の絵は白書院といって、大広間の次に格式の高い部屋でした

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