イスに坐る文化
 西洋の住まいには、数種類のイスがあり、それぞれの場面で使い分けています。立ったり坐ったりがしやすいイス、背もたれの高いイス、寝られるようなカウチ型のイスなど、靴をはいて生活しやすいように考えられているのです。
 もちろん、西洋の住まいの床には、畳はありません。フローリングが張ってあったり、タイルを敷いてある固い床で、直に坐らずイスを置いて生活しています。これは昔から床が土間だったことに関係しています。家の中も外と同様に靴で歩き、外の汚れが持ち込まれる床面とは、なるべく身体を離して生活する文化がつくられていったのです。イスやテーブルに限らず、タンスやベットなど脚のついた家具が多いのも、清潔とは言い難い床からなるべく遠くにするという理由によります。
 こういった西洋の住まいでの立ち居振る舞いをみてみると、あいさつなどは立ったままで行い、また、軽い食事は立式だったり立ったままのおしゃべりもよく見られます。こうした文化は、靴をはいたまま生活することから生まれたものといえましょう。
※土間:地面と同じ扱いの屋内の部屋

「靴のはきかえ場所の違い」「床に坐る文化」「イスに坐る文化」