近いと感じる距離
 みなさんは「近い」と聞くと、どのくらいの距離を想像しますか。その人の身長や体の大きさによって多少違ってくるのですが、実はことばの使い方によっても分かるのです。そのことばは私たちが、ふだん使っている指示代名詞(しじだいめいし)の「これ、それ、あれ」です。ごく近い位置にあるものを指すときは「これ」を使います。少し遠くなると「それ」になり、もっと遠くなると「あれ」となるのです。実際にその距離がどのくらいになるか調査すると、「これ」の範囲は、その人を取り囲むような卵型で、およそ10m3の容積をもつことが分かりました。そしておもしろいことに、「これ」の範囲は、その人が手や足を少し伸ばせば届く範囲を包むように重なるのです。
 このように、人が近いと感じる距離は、手を伸ばして届く範囲として、家具のかたちや部屋の大きさと深く関連していると思われます。

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