家事の意味
 家事は単にやらなければならない仕事というだけではなく、生活していくための技術や文化を伝えるという、大切な役目を担っています。たとえば、子どもたちは親の暮らしかたを見て、食事のときの作法や食べ方、季節の料理、近所のひととの付き合い方やしきたりなど身につくようになるでしょう。また、それぞれが日中別々の場所で過ごすことが多い現代の家族において、家事を協力して行う時間はコミュニケーションの機会として大事な意味ももちます。こうして、みんなが協力して家事をしやすい住まいのあり方を考えることがとても重要となって来ます。
  一方、家事にかかる労力は機械化や商品化によって少なくなってきましたが、その分、さまざまな選択肢が増えたことで、三つめの家事である管理や計画の仕事はより複雑になってきています。まちで売られている家電製品、生活用品、加工食品や様々な便利と言われるサービスのどれをどれだけ生活に取り入れるのか、いろいろな面から考えて判断していくことが必要です。たとえば、家計のバランスや今必要かどうかだけでなく、心身の発達・健康面や家族関係への影響、さらには環境破壊との関連も考えていく事がこれからは特に大切になってくるからです。そしてその結果、どのようなモノ・サービスを家庭に取り入れるかによって、住まいのあり方も変わってきます。
  このように、目先の便利さだけでなく、一つ一つの家事の持つ意味をさまざまな角度からみていくことが必要であり、その上で住まいのあり方を考えていくことが今求められているのです。

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