現代の家事
 毎日の生活の潤滑油(じゅんかつゆ)ともいえる家事。
 昭和20年代までは、家電製品などはほとんどなく、人の手作業で行っていました。たとえば、今はごはんを炊くには、お米と水の分量を量って炊飯器に入れスイッチをポンッと押せば炊けますが、炊飯器のなかった時代はかまどに薪(まき)を入れて火をおこし、ごはんが炊けるまでの火加減の調節が欠かせませんでした。
 しかし30年代以降、国の経済が豊かになるにつれて炊飯器や掃除機、冷蔵庫などの家庭用電化製品が普及し、人の手で行う作業が簡単になり、家事にかかる時間や労力が大きく減りました。同時に、住まいもまた、今まで薪を置いてあった場所は必要なくなったり、洗濯機を置く専用の場所ができたりと大きく変化したのです。
 一方、住まいの中で行われていた家事のやり方が変わっただけでなく、お店の惣菜やレトルトなどのような調理済み食品、使い捨てで洗濯の必要がない紙おむつやハウスクリーニング(掃除屋さん)にみられるように、家事そのものが商品として買えるようになりました。
 このように近年は、家事を効率よく行うための機械化・商品化が進み、これに伴って住まいも計画されつつあります。しかし反面、子どものしつけや病人の介護などの人に関わる家事の分野では、機械を使ったりお金を払って家族以外の人にやってもらうだけでは限界があり、家族がどのようなかたちで関わって行ったら良いのか、いろいろな意見が飛び交っています。

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