火を使い始めたころ
 人類が火を使って生活するようになったのは50万年~40万年頃と言われ、それ以前は、木の実や獣の肉、魚などは生のままで食べていました。それが、火を使うようになったことから、食べ物を焼いたり、蒸したり、煮たりできるようになりした。火力の調節は難しいし、調味料などもありませんが、生に比べたら食べやすさは格段の違いがあったことでしょう。
 人の住まいとして、いちばん古いのは洞窟(どうくつ)でした。北京原人(ぺきんげんじん)の遺跡では火が日常的に使われた跡があり、調理もしていたのではないかといわれています。日本では縄文時代の竪穴式住居で火を使っていたことが分かっています。最初のころの竪穴式住居では、住居の側(そば)の屋外に炉をつくり、そこで調理をしていました。そのうち炉が住居の中にも作られるようになり、中央の炉を囲んで、調理をしたり、暖をとったりしたようです。さらに時代が進み弥生時代になると、調理する場所や寝る場所、作業場所が内部で分けられました。それにともなって、火を使う炉の位置も入り口の反対側に移り、その近くに穀物(こくもつ)や土器をしまうための貯蔵穴がつくられました。これが台所のもっとも原初的な形です。

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