庭づくり
 皆さんの住まいでは、お庭やベランダでガーデンニングをしていますか?実は江戸時代も、庭づくりは人々の関心を集めていました。家相書にも、庭に関する項目がありました。
 庭は、日当たりや通風を考えて、敷地の南側につくるのがいいといわれました。そして、屋根の高さを超えるような木を植えたり、家の構えに比べて立派すぎる石を置くのは「凶」とされました。大きな木や石は、場所をふさぎ、庭や住まいへの日当たりや風通しを悪くする原因となります。さらに大きく成長する木の根は、住まいの土台を揺るがしかねませんから、嫌われたのでしょう。また、庭に池や小川をつくることも、しめじめした環境になりやすいので、すすめませんでした。
 江戸時代の家相では木の種類にもこだわりました。「凶」といわれた樹木は、蘇鉄(そてつ)、芭蕉(ばしょう)、棕櫚(しゅろ)などです。どれも、南の暖かい地方の木で、大きく育つし、変わった形が奇怪(きっかい)だと思われたのでしょう。
 嫌われる方位の鬼門(きもん・北東)に南天(なんてん)の木を植えるのは「吉」という「迷信」もあります。「南天」を「難転(なんてん)」とひっかけて、「難を転じる」つまり「嫌なことが起きるのを避ける」ために、鬼門に南天を植えるとよいとされたようです。今でもまちを歩いていると、敷地の北東の隅に、赤い実をつけた南天を見つけることができますよ。
 また、庭の中心に木を植えると「凶」だ、ともいいました。なんとその理由は、囲まれた中に「木」があると、「困」という漢字になるから、というもの。江戸時代の家相書では、こんな言葉遊びのようなだじゃれを入れながら、快適な庭づくりの方法を教えていたのです。

「よい敷地 」「庭づくり」「自然条件と住まい 」へ