ほどよい距離を保つ「近居(きんきょ)」
 近居は、親と子、兄弟姉妹の家族の家が、同じ町内、同じ市内になど、それぞれの家族が楽に行き来できる距離に暮らす住まい方です。なかでも30分から1時間程度で行き来ができる場所で暮らす家族が増えているようです。「スープの冷めない距離」といいますが、これは、親と子がつかず離れずのほどよい距離で暮らすことをたとえています。
 近居は、同居や隣居と違い、各々の間に少し距離があるので、それぞれの家族が自立して暮らしながら、協力が必要な時には助け合うことができるという「自立と協力」の両方をもつ住まい方といえます。ふだんはそれぞれの家族の生活を自分たちだけで営み、万一の時は、頼れる家族が近くにいるという安心感があります。日常的に互いの顔が見えるわけではありませんが、本当に困ったとき、緊急に支援が必要になったときには、安心して助けや協力を頼むことができます。また、親にとっても気軽に子や孫の顔を見ることができる距離。それほど近くはないけど、気軽に行ける距離がほどよい関係につながります。それぞれの家族の独立心や自立心を保ちながら、心のつながりをもって支え合う、「ゆるやかな関係の大家族」と呼べるような「家族のかたち」です。

ひとつの家に暮らす「同居(どうきょ)」 隣同士や同じ棟内で暮らす「隣居(りんきょ)」
ほどよい距離を保つ「近居(きんきょ)」