屋上に風受けのある家
 インドの西隣にあるパキスタンは、古代四大文明のひとつであるインダス文明が栄えたモヘンジョダロ遺跡のある国です。この遺跡のあるシンド州には、変わった形の仕掛けをもつ住まいがあります。屋上にあるこの仕掛けは、四角い煙突を対角線で半分に切り取ったような小さな壁に、木の屋根をかけただけの簡単なつくりをしています。
 これは現地のことばで「ハワ・ダン」とよばれる風受け装置で、川や海から吹く風を、家の中にとり込んでいるのです。
 ひとつの住まいにいくつかの「ハワ・ダン」が取り付けられていて、風受けの傾斜と向きがどれもみんな同じなので、街を眺めると、「ハワ・ダン」が立ち並ぶ独特の風景が広がります。
 この地方は近くに沙漠もあって、雨が極端に少なく、年中厳しい暑さが続きます。しかし、昼と夜の温度差は大きく、夕方になると涼しい風が吹いてきます。この風の向きに合わせた「ハワ・ダン」で、室内は涼しくなるのです。 昼が厳しい暑さでも、夜ぐっすり眠ることができれば、また明日の活力が生まれてきますよね。

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